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第43回 「特許」を読み解く 長谷部翔太郎さん [マーケット関係者]

このことは、特許についての従来の捉え方が変化しつつあることを示唆しているように思えます。従来は特許を出来る限り長期間存続させ、期限を迎えたものでも、その周辺特許の出願により実効的に技術を独占していくというのが通常でした。もちろん、現在もこの構造に変化はありませんが、様々な技術がかつてとは比べ物にならない速度で、しかもそれが世界規模で普及する時代を迎えたことで、従来とは異なる発想の企業戦略が出てきたのかもしれません。スマホやゲーム、レコードからCDや音楽配信への流れなどを見ると、確かに特許戦略もそういった時代に即して変化する必然性は高いと考えられます。
では、株式投資を考えるうえで、こういった変化からどういったことに留意すべきでしょうか。まず言えることは、特許の保有が切り札ではなくなっていくかもしれない、ということでしょう。これまでは競合他社とのビジネス面での相対優位性を特許の取得数などで推し量ることができました。しかし、競合する別の特許が解放され、雪崩式にそちらが普及してしまえば、形勢は一気に逆転してしまいます。逆に、劣勢を強いられていた企業にとっては乾坤一擲の勝負が挑めるということになるかもしれません。投資を考えるうえで、これは非常に重要な視点になると考えます。そして、それ以上に、特許を開放する企業は、おそらく「その遥か先まで技術開発が進んでいる」可能性が期待できるということです。多額のコストを懸けた技術を開放する以上、簡単にタダ乗り企業に追いつかれないだけの技術優位性を確保していると見るのはむしろ自然でしょう。特許そのものは徐々に切り札ではなくなっていくのかもしれませんが、開放できる特許を持つ企業は(その見掛け以上に)やはり強靭な技術開発力を有している、と見ることができます。特許を軸とした技術開発戦略は新たな局面を迎えたように思います。
2015年01月19日
以上、転載
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コメント 1

(。・_・。)2k

なるほどですね
技術力こそ日本の企業にとって大切なものですもんね

by (。・_・。)2k (2015-03-07 15:22)