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奥川恭伸 高校2年の夏~ 性格の良さは、テレビを見ているだけでもわかる。 [スポーツ]

ウチの家族が、テレビで石川県の高校野球予選を見ていた。たまたま奥川が投げていたので、ちょっと見たら、バッターの緩いゴロをファーストが前進して捕るところだった。そして、ファーストがゴロを捕るころには、奥川はすでに一塁ベースに入っていた。奥川のベースカバーはめちゃ早かった。足が速いという意味ではなく、タイミングが早かったのだ。普通のピッチャーは走って疲れるのがイヤなので、ボールと野手の動きを見てから、ようやく1塁に走る。しかし、このときの奥川は、打球の方向だけを見て、すぐに1塁に向かったのだろう。自分は野球経験者ではないので、これが基本動作なのか知らないのだが、奥川は小学校・中学校の指導者から「すぐに走れ」と教わって、それをきちんと実行していたことが感じられた。2年のとき、奥川が高校日本代表に呼んでもらえたのは、こうしたプレーをきちんとやる性格も評価されていたように思える。成長していく人間は、周囲の先輩たちから「こいつは素直な性格で、伸びていくヤツだ」と思ってもらうことも大切。そのほうがチャンスがもらえるからだ。

高校日本代表対宮崎県代表との練習試合でも、おもしろいことがあった(このときの宮崎県代表は、この練習試合のために、大学生と練習試合をするくらい準備をして、戸郷翔征(現・ジャイアンツ)もスカウトにアピールしようとめちゃ気合が入っていた)。おもしろいことというのは、奥川が代打で出てきたことだ。交代のタイミングでピッチャーに打席が回ってきたので、登板予定のなかった奥川が代打に出されたのだ。しかも、急に言われたようだった。宮崎県代表のキャッチャーは打席の奥川に言った。「ピッチャーだよね」。奥川がベンチを見ながら困った顔で答えた。「行けって言われて」。3年生の野手がまだ残っているのに、自分が代打に出て申し訳ないという気持ちが伝わってきた。結果として、奥川は3球三振。3球目を空振りすると、奥川はすぐに全力疾走してベンチへ帰った。「自分なんかが出てごめんなさい」という気持ちがホントに伝わってきた。この性格の良さは奥川の武器だ。

この年の高校日本代表には、奥川と正反対の性格、昭和のピッチャー性格の人間がいた。吉田輝星(現・日ハム)である。日本代表はこの大会の序盤で弱い外国チームと対戦、ノーヒットに抑えていた。そのとき登板予定のなかった吉田はベンチで応援していて、勝手に「ノーヒットノーランをやるぞ」と、気合を入れていた。ところがリリーフ登板した奥川が初ヒットを許した。吉田はそのイニングを終えてベンチに戻った奥川にマジで「なんで打たれるんだよ!」と、怒っていた。報道では軽く言ったことになっていたが、映像を見る限りマジで怒っていたのは確か。これを自分は「吉田激おこ事件」と呼んで、笑いのネタとして覚えていたので、ここに披露しておく。ちなみにこの試合はゼロ封のコールド勝ちだった。ヒットは奥川が打たれた1本だけだった。

そういえば、奥川は1本だけヒットを打たれる傾向がある。2年秋の北信越大会で5回コールド勝ちなのに、13個三振を取った試合があった。普通に考えると、ノーヒットノーランでもよさそうなのだが、なぜかヒットを1本打たれていた。

奥川の1軍デビューも近そうだ。
デビュー戦では、高卒ルーキー史上最高の完成度を見せてほしい。松坂大輔と田中将大はルーキー時代の春からローテーション入りしていた。この二人と比べると、奥川は4か月以上の余裕をもらっている。その程度のレベルの高さは軽く見せられるはずだ。
自己最速も更新するだろう。自然にスピードが出るはずだし、ここで自己最速が出ないと、奥川は本番に弱いピッチャーということになってしまう。そんなはずはないので、普通にやれば最速は出るだろう。
5イニングしか投げないと思うので、得意のヒット1本だけをここでも出すような気もする。どうせならデビュー戦で5回パーフェクトをやってほしかった。そう思われるのも、奥川の持ち味に思える。ヤクルトのピッチャーの人たちには申し訳ないが、入団した瞬間から、エースは奥川だ。ヤクルトには千賀滉大も、菅野智之も、山本由伸も、いないので。
高津監督には終了後のインタビューで「ヤクルトファンのみなさん、おめでとうございます。ヤクルトに凄いピッチャーが入りました」と、言ってほしい。

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