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飯塚脩人 大久保フロッグス → 習志野市立第二中学 → 習志野高校 → 早大 [スポーツ]

投手としての特長
これまでに甲子園で「無失点男」と呼ばれたピッチャーは10人もいないはず。
心身ともに、プロ野球のクローザーになれる素材。
気合と度胸は田中将大に匹敵。
マウンド上の姿から、自分を追い込むまで走り込んでいることが伝わってくる、見ていておもしろいピッチャー。
筋トレしてなさそうなのに、公式戦で投げるたびに球速が1キロずつアップするという珍しいタイプ。
コントロールはかなりのもの。疲れてきたときや力み過ぎたときは、高めに球が浮くが、ど真ん中にはほとんど投げない。躍動感あふれるフォームで、高いレベルのコントロールという点で価値が高い。
高校時代から見ていた釜田佳直との比較では、コントロールでは飯塚のほうがはるかに上。釜田がプロ1年目から活躍したことを考えると、飯塚は中継ぎなら即戦力だったはず。高卒ルーキーに無理はさせない近年の傾向を考えると、試合数は制限するにしても。

高校入学まで
脩人(しゅうと)はバスケットボールからのネーミングらしい。
小学生時代は、日清陸上の習志野市予選でソフトボール投げ1位。3月生まれなのに、同級生のなかですでにトップだった。この実績は中学生時代も、本人の心の支えになっていたかも。「俺はやればできる」と思っていたのでは。ちなみに県大会では、3位。
中学生時代は軟式野球の普通の選手。3年生最後の習志野市の大会は、たしか五中に1回戦負け。いっしょに野球をやっていた同級生からは、飯塚が習志野高校に行っても試合に出るのは難しい、と思われていた気がする。実際、習志野市の中学生にとって、習志野高校のレギュラーになるのは簡単ではない。習志野市出身のレギュラーがゼロの年も普通に存在する。それでも、飯塚はあえて習志野高校に進学。「俺はやればできる」を証明することになる。

2019センバツ前
知り合いの知り合いということで、大会前から注目。ピッチングの動画を探したが、遠くから撮影したものしかなく、センバツを待つしかなかった。
センバツを決めた秋の関東大会では、タイブレークをゼロでしのいだ。味方のバックホームの好返球もあったはず。
高校野球雑誌の大会前アンケートでは、意識する選手として「奥川恭伸」と返答。大きく出たなとちょっと驚いた。
好きなプロ野球選手には「古谷拓郎」と回答。高校の1年先輩でいろいろ教わったらしいが、プロ野球に入ったばかりの選手を答えて、これにも驚いた。古谷から「恥ずかしいから俺の名前を出すな」と言われたら、「ロッテのスカウトに後輩の飯塚もよろしく」と言ってほしいという願望を感じた。

センバツ1回戦
期待していたので、1回戦から見た。最後の1イニングとちょっとしか投げさせてもらえず、気合が空回りしていた。最後のバッターには、ストレート3つで三振を取りたそうに見えた。しかし、ボールが浮いて打たれた。それでも、プロ野球のスカウトにアピールしたいのだろうという気持ちが感じられて、その意欲だけを評価した。
この試合終了時、勝ったのに飯塚はまったく喜ばなかった。スカウトにアピールしそこなった自分自身に腹を立てていたのではないだろうか。「これじゃあプロには行けないや」というがっくりした気持ちが表情に出ていた気がする。
甲子園で勝ったのに喜ばないということは、本人の意欲の高さの表れ以外の何物でもない。これだけやる気を見せられる選手はなかなかいない。

センバツ2回戦 対星稜
ピッチャーゴロを身体全体で取りに行く姿勢が良かった。おそらく守備はヘタと自覚しているから、こんな取り方になるのだろう。180センチを超える身長なのに、投球・守備・牽制とも、170センチクラスの動きの軽さを感じる。中学時代はややぽっちゃり体型だったらしいが、やせたデブならではのいい動きなのかも。動きの軽さと投球リズムの良さから、味方野手の好プレーを引き出せるところも魅力。コントロールもいいので、野手としては本当に守りやすいピッチャー。この試合ではなかったかもしれないが、ファースト寄りのピッチャーゴロを取って、走りながら一塁手に向かって慎重にトスするプレーも見られた。自分が走ることで、一つのアウトを確実に取る。ピッチャーのこうした姿勢は、味方の野手に伝わり、守備が締まることになる。
この試合の8回には、一撃必殺の二塁牽制でチームと自分を救う。対戦相手の奥川にとっては味方の牽制死のショックは大きかった。次のイニングで、奥川はホームランを浴びる。これが野球の流れというものか。飯塚の牽制は、失点を防いだうえに、味方のホームランまで呼び込んだ。
飯塚は9回を3人で締めてゲームセット。しかも、最後のバッターは奥川。「奥川に投げ勝つ」という2019年の高校野球における最難関のミッションをクリア。驚きました。
振り返ってみれば、この試合は高校生だった頃の田中将大同士が勝負したような試合だった。田中クラスのハートを持つ飯塚と田中クラスのボールを投げる奥川。負けた奥川にとっては、この試合で気持ちの大切さを飯塚から教わる格好になった。奥川の夏の大会の智辯和歌山戦は、この試合での敗戦が生かされた結果のように思える。あの試合の奥川は味方が点を取れなくても動じなかった。

センバツ決勝 対東邦
石川昂弥にホームランを打たれた。外角低めのコントロールはいいのだが、ボール一つ甘くなったスライダーだったか。石川の次の打席では、内角に厳しいストレートを投げた。点差なんて関係ない、いいバッターと勝負したい、その気合が素晴らしい。しかし、この打席でも再度長打を食らう。
試合後、習志野高校OB、元中日の谷沢健一が「飯塚は良く投げた」とコメントしていた。元プロが個人名を出してコメントするのは珍しく、印象に残った。
このセンバツは、投げて、打って、優勝した東邦・石川の大会だった。でも、この大会でもっとも成長したのは、もちろん飯塚脩人。飯塚のためにあったような大会だった。

夏の大会
全体的にボールが高かった。上げた左足の先の遊びをなくしたフォーム改造が影響したかも。
夏の大会の内容がイマイチだったので、高校日本代表には選ばれないのではと心配していたが、選ばれてホッとする(誰がホッとしたのか? それはこの文章を書いている俺です。高校日本代表は野球をやっている人間にとって、楽しみつつ成長できる、夢のようなボーナスステージ。おまけに2019年の代表には、あの二人がいたので、投手にとっては、スーパースペシャル・ボーナスステージなっていた。それは飯塚君本人が一番感じたはず)。

高校日本代表
壮行試合で大学日本代表から、三振取りまくり。プロに行くべき、大学に進む必要はないと思われた。
韓国での大会では、リリーフで無失点を継続。環境が変わっても、パフォーマンスが落ちなかった。度胸の証明として、ここは重要。
大会後の韓国の空港では、奥川と佐々木朗希を左右に置いて、自撮りをゲット。この写真を見たら、いつでもやる気が出せそう。ドライチに挟まれて、目標は明確。スーパースペシャル・ボーナスステージを完璧に堪能した(高校野球の記事のなかに、この自撮り風景を見つけたとき、ガッツポーズをしたよ。誰がガッツポーズをしたのか? それはこの文章を書いている俺です。ここは思い切って、二人に頼むべき。飯塚君、よくやった)。

早大進学
プロ志望届を出さずに、進学。早大の大OBでもある谷沢から、小宮山監督に「紹介してやろうか」と連絡が行ったような気が。飯塚は、プロ野球のピッチャーとしては極端に筋肉量が少なかった小宮山監督と相性がいいかも。小宮山監督は現役時代、微妙なコントロールを維持するために、筋肉をつけなかった投手と思われる
松坂大輔がメジャーに行って筋肉量を増やしたとき、「これではすぐに壊れる」という予想が当たったことがある。
飯塚にとっては、どの程度の筋肉をつけるべきか、それが最大の問題か。スポーツ科学部なので、そこらへんを自分で研究して、納得したうえで、筋肉をつけてほしい。ピッチャーの筋肉量と選手寿命と球速の関係とか、研究したらおもしろそう。最適の筋肉量については、個人差も大きい。骨格とのバランスとか、肩と肘が耐えられるかとか、考えることはいろいろとありそう。
とりあえず、4年間もあるから、いきなり抑えで使うことはなさそう。もしも飯塚を壊したら、小宮山監督が谷沢から怒られそうだし。でも、勝ちたかったら、すぐに抑えで使いたくなるだろう。小宮山監督も悩ましいところ。

入学前、千葉マリンで新人自主トレを行っていた佐々木朗希を一般人として見学。佐々木へのサプライズでハイタッチ会に参加しようとしたが、参加方法がわからなくて断念したらしい。佐々木の練習終了後は、球場外で会話。「みやぞん」に似てると佐々木からイジられる。高校日本代表の期間で、仲良くなった証拠。

追記 今後の成長に向けて(そのうちこの記事を本人が読むかもしれないので)

練習のランニングで自分を追い込むことがピッチングの支えになっている。それを忘れてはいけない。体力的な意味はもちろん、精神的な意味でも。ピンチを迎えた場面では、精神的な支えを持つことが特に重要。

同級生のあの二人は意識しすぎない方がいい。プロに入って試合で勝負するのはいい。でも、投げるボールのスピードで勝負してはいけない。それをやろうとすると、身体が壊れてしまう。あの二人は高校2年の頃から、ダルビッシュ有、田中将大、大谷翔平のラインに乗っている。このラインは普通のピッチャーとは違う。本人も周囲も、高校の頃からメジャーを意識せざるをえない連中。

先発に向いているピッチャーは、試合の終わりを意識せずに、淡々と一つずつアウトを取っていく。一方、クローザーに向いているピッチャーは、試合の終わりに向けて、無意識のうちに心のなかでカウントダウンして、気合を入れていく。多分そうなんだろうと思う。それを教えてくれたのは、飯塚脩人。飯塚脩人はスタミナがないのではなく、カウントダウンするタイプだから、先発に向いてないだけ。これからも気合を入れてカウントダウンして、自分自身を鼓舞してほしい。あの田中将大も、高校時代は性格的にクローザータイプ。たぶん、今でも田中将大はクローザータイプ。田中が気合を入れたときを見ていると、ホントにそう感じる。

球速の足りないピッチャーは、プロに入るために故障覚悟で筋肉をつけなければならない。そのリスクは取るに値する。でも、すでに150キロ以上出せるピッチャーは、そんなリスクを取る必要はない。野球のピッチャーはほぼ全員が故障する運命にある。それでも、自分で自分を壊すのは止めた方がいい。

スポーツは自分の身体を使って行う実験である。球速やコントロールを確認しながら、筋肉量を増やしていってほしい。

マウンドに上がったら、下級生でも関係ない。野手を従えるつもりで投げてほしい。それが持ち味だし、そのほうが野手も守りやすい。

成長していく人間には、成長するための場が与えられる。「自分にはまだちょっとムリ」というくらいの場所を得て、その役割を果たすことで人間は成長していく。昔、タモリが「笑っていいとも」の司会を始めた時も、そんな感じだった。ということで、早いとこ大学日本代表のクローザーになってほしい。

将来、プロ野球のクローザーになったら、ぜひ、習志野市の少年野球大会を後援してほしい。

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